勝負球はパームボール blog

とある大学院生の日常

中日三連敗...

はい、中日ファンのshimkenです。

ついこないだまで最下位にいたと思った広島がじわりじわりと上がってきました。中日はこないだ貯金溜まったと思ったら再び勝率5割へと戻ってしまいました。

打線は中軸のビシエド選手、アルモンテ選手、周平選手が大ブレーキで、アルモンテ選手は枠の関係でロメロ選手と交代で2軍へと落ちました。タイムリーがなかなか出ないのはずっと分かっていたのですが、ここまで打てなくなるとやはり辛いです。

一方、鈴木選手、松山選手を欠いたといえども、広島打線を抑えていた大野雄投手、ロメロ投手はさすがでした。山井投手もナゴヤドームなら外野フライかなと思う打球もいくつかありましたし、マツダスタジアムの狭さがちょっとマイナスに働いたかなと思います。まあ、失投を仕留められたのは残念ですが。個人的には大野雄投手の復活とロメロ投手の活躍に期待しています。

ただ、この3連戦ちょっと疑問も多かったですね。まずは1戦目、2戦目の試合開催の是非です。1戦目は窓の外見ても雨ひどいなと思っており、テレビ画面からでも雨すごいなと誰もが思う天気状態、2戦目も昨夜からの雨で小康状態になったときもありましたが、雨が止んでいる時間は少なかったと思います。もちろん、中日広島戦のマツダ開幕戦ですし、中日ファンで広島まで見に来たファンもいると思いますが、果たしてやってよかったのかなと思います。選手が体調不良やプレーによる怪我をしてしまったらどうするんだと思いながら見てました。もちろんファンの方もです。特にビジター席には屋根ないので他球団ファンは確実に濡れますよね...正直、広島での雨天時の試合開催に関しては以前から結構疑問視というか批判的なんですよね。昔阪神広島戦でも雨がひどいのに続行していて驚きました。球団からしたら見に来たファンが~の一言で済ませて儲ければいいかもしれませんが、肝心の選手が体調不良やケガ、ファンも風邪ひいたとなったら悲しいです。

もう一つは最近審判のストライクゾーンです。全カードの横浜広島戦にて、横浜パットン投手がストライクゾーンに不満を上げていましたが、最近審判のストライクゾーンがかなり可変しているんですよね。相手チームには取っていてくれたのにこっちでは取ってくれないだったら、その審判が贔屓にしているんだろうなーとファンからも揶揄されると思うのですが、最近は1球1球違うことあるんですよね。初球はボールだったのに、3球目同じコース、同じ高さ、同じ球種でストライクと取られたらバッテリーもそうですが、バッターも困りますよね。

あとは、2戦目で菊池選手が空振り三振に取られたシーンもバットに当たってファウルチップかな?と思われるのも結局は当たってないとされましたし、最近はいろいろと審判の質が落ちていると思われても仕方ないですよね。もちろん審判の仕事の大変さも理解しますし、クローズアップされるのは誤審したときのみで、その時にはファンから批判される職業。瞬時に正しい審判を下さないといけませんが、今はリクエストでビデオ判定される時代にもなり、誤審を認める勇気を持つこともだと思います。

ファンもリクエストで結果が変わったとしても審判を攻めすぎず、包容する心ももってあげるべきだと思っています。与田監督もヤクルト戦にて誤審というか嘘をついてしまった審判のことを心配していましたしね。

 さあ、金曜日からは名古屋に戻って阪神との3連戦です。近本選手が調子いいので気を付けたいところですね。ビシエド選手も得意の阪神戦で復活してくれればいいのですがね。また1から貯金作っていきましょう。今は辛くても秋に笑っていればいいのです

 

北朝鮮料理を作ってみた!

こんにちは。shimkenです。

自己紹介や記事から見てわかるように自分は北朝鮮に関することを勉強しているわけですが、今回は北朝鮮の料理を食べに行くのではなく、自分で作ってみました!

南北首脳会談で注目されたように、北朝鮮の代表的な料理と言えば、平壌冷麺ですよね!ですよね??実は咸興冷麺も有名ではありますが。でも、もっと有名ではない北朝鮮の料理が食べたい!何か手軽に作れるものはないか?と思って、調べて見たわけではなく、研究のために脱北者のカン・ナラさんの動画を見ていたら、偶然見つけました。(断じてファン目線で見たわけでは...おきれいですよね。自分より年下。97年生らしいです。北朝鮮離脱住民をテーマにした映画に参加されていて、今度公開されるそうです。)

ちなみに動画はこちら→


탈북미녀 강나라의 북한 요리 만들기

動画で作っている料理は 두부밥って言います。두부(豆腐)と 밥(ご飯)。。。  

料理名そのまんま!!(笑) でも日本にある材料ばかりですし、自分でも作れるんじゃないか?と思ってさっそく作ってみました。他にも脱北者の方で動画をあげていた人もいたので、そちらも見てみました。

ポムヒャンさんの動画 (엄마와 함께)북한에서 유명한 두부밥 만들었어요 먹방까지 함께 보여드립니다 - YouTube

イ・ソユルさんの動画 탈북녀 이소율 : 북한음식 두부밥만들기 요리레시피대공개 - YouTube

 

目次

 

1材料

・豆腐 ・ご飯のみです。

 タレは、・醤油・おろしにんにく・玉ねぎ・青ネギ・ごま油・ごま・コチュカル(トウガラシ粉)で作ります。

2作り方

まず、下ごしらえとして、豆腐を三角の形に切ります。切ったあとは、キッチンタオルの上に置いたら、塩をまぶして一晩おきます。そんなの無理!って方は30~40分ぐらいおけばいいそうです。カン・ナラさんはすぐ揚げていますが(笑)ひとまず、水分をしっかり切ることが大事ですね。1丁であれば、大体8個分は作れます。失敗しそうな人は2丁分作っておくといいかもです。


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次に、揚げていきます。ここで大事なのは揚げすぎないことですかね。こんがり黄色くなったら取り出して、余分な油を切っていきます。大事なのはここからです!冷めて表面が固くならない前に、ご飯を入れる隙間を作っていきます。本当に少し冷ますだけです。あと勢い余って側面に穴をあけないように注意です。

まだ揚げてない豆腐があったら、揚げていきましょう。その間にタレを作っていきます。玉ねぎはみじん切りにしておきます。ボウルに醤油大さじ5杯ほど入れ、おろしにんにく、刻んだ玉ねぎ、青ネギ、コチュカル(辛いのが大丈夫な人は多めに)、ごま油少々、ごまを入れて、よくまぜます。以上です!(簡単ですよね?)

では、ご飯を入れていきますが、自分はごま油をかけてまぜたご飯を使いました。これは好みですかね。ご飯は表面から少しでるかでないかぐらいの量で大丈夫です。


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ご飯を入れた後は、作ったタレをかけておいしく食べるのみです!

 

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盛り付けド下手ですみません!!!m(__)m

3注意点のおさらい

  1. 揚げすぎない
  2. 冷ませすぎない
  3. 豆腐なので注意して扱う

作り方はだいたいこのような感じです。動画見ながらの方がわかりやすいかもしれません。はい、分かっています。みなさんが言いたいことは。 写真と盛り付けのセンスないことは言わない!)

自炊生活しているので、結構料理を作ることがあるのですが、今回のような料理は初めて作りました。材料費も抑えられておいしくて、よかったです。稲荷ずしとはまた違った感じでもう一回作ってみたいですね。

知り合いの脱北者の方からも、写真見て上手に作ったねとお世辞だとは思いますが、お褒めの言葉をもらいました。でも自己流で作った部分も多いので、今度は実際に脱北者が作ってくださったのを食べてみたいですね。本場の味を。

 

 

北朝鮮離脱住民定着支援について(2020/09/03追記)

こんにちは。simkenです。

この情報は以前のデータなので、現在の支援内容に関しては、次の資料を参考にしてください。(2020/09/03追記)

 

www.unikorea.go.kr

 

今回は、タイトルにあるように北朝鮮離脱住民定着支援について解説しようと思います。なぜ記事にしようかと思った理由は、以下の画像にあります。

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Twitter上で、とある方とこのようなやりとりをしたためです。こちらのツイートは事実とは異なる情報があり、自分のフォロワーよりも多くのフォロワーさんがいるため、間違った情報で覚えてしまう恐れがあるためから、記事を書こうと決めました。

この方とのやり取りの発端は、脱北者がナヌムの家に行くとツイートされていたところから始まります。なぜ気になったのかは、後に説明します。

この方のツイートで、間違っている点は以下の通りです。

1.ナヌムの家とハナ院を誤解

2.韓国入国後から韓国社会への編入課程についての誤解

3.定着支援制度の変化に対する情報のアップデートをしていない

4.そもそも定着支援制度に関して正確な知識を持っていない(と予測される)

ということから、上記の点から解説していこうと思います。            なお、時間の都合上、資料が韓国語原文のままになります。

ハナ院とは?

正式名称は北朝鮮離脱住民定着支援事務所(북한이탈주미정착지원사무소)であり、通称ハナ院と呼ばれています。こちらの施設では韓国社会編入のために、社会適応教育を受ける場所であり、5つのプログラムから成り立つ12週間406時間の正規課程と、自主参加型補習プログラムとしてさらに363時間の教育課程もあります。自主参加型は週末や放課後に行われる課程です。正規課程では、2017年から生涯設計プログラム(27時間)が新設されました。

なお、正確な所在地に関しては公開されていません。1999年に京畿道安城市にハナ院(本部)が開設され、 2012年12月に江原道華川郡に第二ハナ院(華川分所)が開院されました。その間にも2006年3月に京畿道始興市始興分院として開院、その後2009年に始興市から京畿道楊州市へと移転開院されています。日本語文献では、研究の乏しさと最新のものがないことから、ハナ院が一つしかないように書かれていることがありますが、それは違うということも理解していただけるとありがたいです。

 

図1 ハナ院の教育課程(韓国語)

 

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出所:統一部『2019 統一白書』統一部、2019年、p209。

 

Twitterの話に戻します。まず、自分が気になったのは、「普通は脱北者がナヌムの家に行くことがある」というツイートがあったことです。プライベートで行くことに関しては自分の知らない情報で当然ですが、普通はということに疑問が湧き、尋ねたところ写真一枚目左のリプが返ってきました。内容を検討したところ、ハナ院であることが分かり、それを指摘したところ写真1枚目右のリプにつながるわけですが、上記の解説の通り全くの出鱈目と言えます。相手は何を根拠にと言っていますが、自分の主張は「北朝鮮離脱住民の保護並びに定着支援に関する法律」とこの法律に基づき策定された政策の内容なんですけどね。統一部のHPにも載っていますし、すぐ確認できることばかりです。

では、その方が言う身元調査とはどこでするのか?次の解説です。

韓国入国~韓国社会編入

以下の図は、脱北者の保護要請から韓国社会編入するまでの図式化したものになります。なお、これは統一部のHPでも確認できます。

こちら→입국및정착과정< 현황< 북한이탈주민정책< 주요사업< 통일부_국문

図2 北朝鮮離脱住民定着支援の流れ(韓国語)

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出所:統一部『2019 統一白書』統一部、2019年、p204。

 

真ん中に국내입국(国内入国)という下に합동조사(合同調査)という文字が見えますでしょうか。この合同調査にて身元確認を行います。統一部、国家情報院、警察などを含めた合同尋問調査です。この調査にて人権侵害の実態調査も報告されていますが、今回は割愛します。この合同調査にて、スパイではないのか、あるいは脱北者のふりをした中国人、中国朝鮮族ではないのかなど身辺調査を行います。その後、北朝鮮から逃れてきた者と認定されれば、正式に北朝鮮離脱住民として保護認定され、ハナ院へと移送されます。ハナ院の課程修了後には、家族関係登録、住居斡旋(居住地配置決定)などされて、韓国社会に本格的に編入することになります。

定着支援金貰うって聞いたけど?

一枚目の画像にもあるように、定着支援金を貰いますが、実際の金額はどれくらいか確認してみましょう。まず、現在の定着支援金からです。

図3 定着金細部支給基準(韓国語)

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出所:統一部『2019 統一白書』統一部、2019年、p220より一部抜粋。

 

まず、ハナ院終了後に支給されるものが基本金(기본금)と住居支援金(주거지원금)になります。基本金は、1人世帯700万ウォンです。まず初期支給金に400万ウォン、3回の分割による分割支給金で計300万ウォンが支払われる形になっています。なぜこのような形式になったのかと言えば、資本主義社会に慣れていなかった北朝鮮離脱住民が支援金を貰ってすぐに浪費してしまったことや、脱北ブローカーに対して脱北費用の借金返済として使ってしまうことにより、韓国社会での自立・自活生活が困難になるケースが報告され、本来の用途と異なる使用方法を防ぐために変更されました。

2019年度から定着金に変更があります。『2019年度北朝鮮離脱住民定着支援施行計画』によると、定着基本金を1人当たり100万ウォンの増額をするとのことです。初期支給時に1人100万ウォン増額された金額がされるとのことで、よって、1人400→500、2人500→700、3人600→900という形です。詳しくは以下の画像を参照してください。

図4 19年度定着基本金の支給基準

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出所:『2019年度北朝鮮離脱住民定着支援施行計画』p44。

もう一つの住居支援金は1人世帯に1600万ウォン、2人世帯に2000万ウォンとなっています。つまり、1人世帯の場合、基本金の700万ウォンと住居支援金の1600万ウォンの合計2300万ウォンが支給されていることになります。これ以外にも奨励金の形としていくつか条件を満たせば加算金として支給されるとされています。

一枚目写真にて1000万ウォンと数字が出されていますが、果たしてどの支援金が1000万ウォンなのか、はたまた1000万ウォンという数字は適当なのか確認してみましょう。下の表は定着支援金の金額の変化を示したものです。

表1 定着金の金額変化

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 出所:統一部『統一白書』の記述を基に筆者作成。

 

この中から、1000万ウォンという数字にこだわるのであれば2005年の住居支援金になるでしょうか。どちらにせよ古い情報ではあることに間違いないですね。ちなみに2007年を境に住居支援金が大幅に増加され、基本金の分割支給金が減額されたことも確認できますね。

定着支援制度の政策って何を根拠に?

さて、定着支援政策は何を根拠に策定されているのでしょうか?現在の支援制度は、1997年に施行された「北朝鮮離脱住民の保護並びに定着支援に関する法律」(通称:「北朝鮮離脱住民法」)を基に作られています。あれ、過去にも北朝鮮から来た人って居たよね?って思われた方鋭いです。過去には以下のような法律で支援していました。

  • 1962年~「国家有功者並び越南帰順者特別援護法」
  • 1979年~「越南帰順勇士特別補償法」
  • 1993年~「帰順北朝鮮同胞保護法」

これらの支援内容の変化もなかなか興味深いのですが、それは難しいのでパスしておきましょう。支援金(補償金)やら名称やら担当部署やら待遇など注目です。

北朝鮮離脱住民法」では、北朝鮮離脱住民の定義や支援の内容、北朝鮮離脱住民財団(現:南北ハナ財団)についてなど書かれています。上記の3つの法律も合わせて、法律の原文は、국가법령정보센터(国家法令情報センター)にて確認できます。

ということで、自分が今まで解説してきたことはこの法律に沿って作られた政策と、その政策を紹介する資料を持って行ってきました。つまり、1枚目の何を根拠に言うがという相手のコメントは、自身が北朝鮮離脱住民定着支援政策の正確な知識を持っていないということを証明していることになると思われます。さすがに事実と異なる情報をあそこまで言われるとねぇ...別にあの方に北朝鮮離脱住民の知り合いが居たとしても、事実と異なることであれば、誰かから指摘されるはずですしね。別にこっちは、相手側の知り合いの北朝鮮離脱住民がいるからというマウンティングは気にしておりませんが、筆者も脱北者の知り合いは居ますし、脱北者団体や北朝鮮人権団体にも知り合いいるので、それで自慢されてもというのが本音ですかね...

最後は愚痴をこぼしてしまいましたが、解説は以上です。  

もし気になったことや質問がございましたら、コメントしていただけると嬉しいです。*誹謗中傷や差別的発言は控えてください*

最後に書籍紹介

もし、北朝鮮離脱住民定着支援に関して興味を持たれた方で、韓国語が読める場合には統一部のHPやそこにある資料をおすすめします。書籍であれば、少しだけ前の本になりますが、次の2冊でしょうか。

김영하『새터민을 통해 본 남북한 사회 그리고 통일』경북대학교출판부, 2010년.   (キム・ヨンハ『セト民を通して見た南北朝鮮社会そして統一』慶北大学校出版部、2010年。)

www.kyobobook.co.kr

조용관・김윤영『탈북자와 함께하는 통일』한울아카데미, 2009년.         (チョ・ユングァン、キム・ユニョン『脱北者とともにする統一』ハウルアカデミー、2009年)

www.kyobobook.co.kr

 2冊とも近い時期に発売されたものですが、キム・ヨンハ先生の書籍はかなり分厚いですが、情報量はかなりなものです。特にセト民という呼称を巡る韓国社会での動きに関して、参考することもよさそうです。実際にキム・ヨンハ先生の講義を受けたこともあり、いろいろと教えてもらいました。

韓国語無理だけど英語でならという方には、次の洋書をお勧めします。(少しお高いのがネックですが、ペーパーバック版もあるんですね)

North Korean Defectors in a New and Competitive Society: Issues and Challenges in Resettlement, Adjustment, and the Learning Process

North Korean Defectors in a New and Competitive Society: Issues and Challenges in Resettlement, Adjustment, and the Learning Process

 

こちらは比較的最近発行された書籍ですし、英語もそこまで難しくはないです。定着支援のみならず、韓国社会で生活していくうえでどのような困難や問題点を抱えているのかも理解できる一冊となっています。

日本語の本の場合、先述したとおり、日本では脱北者研究自体が乏しく、論文ですら古いものばかりになっている状態です。

こちらの本では、一応脱北者問題を扱っている部分もありますが、ほんの少しで、具体的な支援制度までは言及されていないです。かといって、パク・ヨンミさんやイ・ヒョンソさんの本は、彼女たち自身の話が中心なので、うまく合わないですね。

新版 北朝鮮入門

新版 北朝鮮入門

 

 ということで、北朝鮮離脱住民問題を本格的に学ぼう!と思われたら、大人しく韓国語を勉強してくださいとしか言いようがありませんね...

 

参考文献

김영하『새터민을 통해 본 남북한 사회 그리고 통일』경북대학교출판부, 2010년.   (キム・ヨンハ『セト民を通して見た南北朝鮮社会そして統一』慶北大学校出版部、2010年。)                                  통일부『2019 통일백서』통일부, 2019년.                    統一部『2019 統一白書』統一部、2019年。

 

 チョン・スチャン著 斎藤真理子訳『羞恥』

[本紹介]

オリンピックは商売だ!選手村建設にわき立つ町で、追いつめられ崩れ落ちていく脱北者。大事なものを失った哀しみの中に、韓国社会の今を映し出した名編。 

これは本の帯カバーに書かれている文句です。原著である전수찬『수치』は2014年に韓国で発売され、邦訳本は2018年にみすず書房から出されました。訳者は斎藤真理子さんです。韓国文学をよくお読みになる方なら、一度は聞いたこと見たことある方だと思います。翻訳に関して信頼しております。

 

日本語書籍↓

羞恥

羞恥

 

韓国語書籍↓ 

play.google.com

 

内容は、脱北者の心情を強く引き出して描いてます。韓国社会において、脱北者は以前のように英雄として扱われることはなくなり、場合によっては邪魔者扱いされ、苦しみながらも生活しています。脱北者の心情を中心にするというよりは、心情を通して韓国社会を知ると言った方がより適切かなと思いました。

 

自分は、本の内容よりも、後ろにある訳者解説に少しフォーカスしていきたいと思います。このことに関して最新の詳しい解説する方はいませんでしたし、まさに専門なので、どのように書かれているのか、すごい興味を持って読んでいました。

結論から言うと、結構よかったです(まあ、まだ修士号習得していないお前が言うなよと突っ込み入りそうですが)。データに関しては最新のを使ってほしかったなと思うところもありましたが、全体的な構成は良かったと思います。定着支援制度の詳しい解説は、さすがにページ上難しかったと思いますし(紹介するだけでも一冊の本にできるレベル)、それでも読むうえで必要なところを抜き出していたと思います。

ただ、中国政府の脱北者の扱い方に関しては、少し補足説明が必要かなと思います。まず、中国政府が脱北者北朝鮮に送還するのは、明確に二国間で条約を結んでいるからです。協力関係から難民と認めず、見つかったら北朝鮮に送還されるというのは少し言葉足りずかなと思いました。

脱北ルートに関しては、解説中にもあるように映画『クロッシング』(キム・テギュン監督、2008年公開)と『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』(ユン・ジェホ監督、2016年公開)を見ていただけると良いかなと思います。

個人的には、北朝鮮離脱住民に関して知りたいと思ったら、この本を一回読むことをお勧めします。さらに気になったら、脱北者の方が書いた本を読む。そしてもっと知りたくなったら、韓国語勉強して、韓国の論文や学術書を読んでください。それが一番だと思います。

北朝鮮離脱住民と私

タイトルにある北朝鮮離脱住民。

一体、どのような人のことを指すのか、知っている人は朝鮮半島の事情に結構勉強されている方だと思います。

韓国語で書くと、북한이탈주민(韓国では北朝鮮のことを북한:北韓と呼ぶ)。

そのままの通り、北朝鮮から抜け出した人たち、すなわち脱北者を指します。

この呼称は、韓国の法律*1で、正式名称として使うように決められており、どのような人たちか定義もされています。

もちろん、日本のように日常会話では脱北者とも使います。

 

なぜいきなりこんな話をするかというと、これが自分の研究テーマの対象だからです。

2016年2月、交換留学を終えて、日本に帰ってきたときに、とある一冊の本に出会いました。

 

生きるための選択 ―少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った

生きるための選択 ―少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った

 

書店を歩いてて、ふと目に留まったこの本を手にした時から、大学院の研究テーマが決まりました。(その前に卒業論文が待っていましたが)本の内容に関しては、また書籍レビューを書きたいと思います。

 

日本では、脱北者に関する研究実績は乏しく、先入観による情報発信が多いです。韓国の脱北者の生活を実際に知っている方なんて、ほとんどいないですからね。

ちなみに、この著者を紹介すると、2014年にアイルランドのダブリンで行われた若者の国際会議で北朝鮮の人権問題に関してスピーチし、有名になりました。

その動画がこちら↓


Escaping from North Korea in search of freedom | Yeonmi Park | One Young World

現在は、結婚と出産を経て、育児のために、以前ほど活動をされてはいない感じです(彼女のインスタより)。

 

ブログ主の話に戻します。大学院に入り、とある脱北者団体とご一緒する機会に恵まれました。そこで初めて、実際の脱北者と出会いました。現在も縁は続き、連絡しては韓国で会うようになりました。韓国での生活の大変さ、就職などいろいろな話をします。韓国政府もいろいろと定着支援政策を改善してきましたが、変化する脱北者事情に対応しきれていないです。

北朝鮮離脱住民の社会統合に関しては、これからも活発な議論が必要ですし、支援が必要だと思っています。

 

*1:北朝鮮離脱住民の保護並びに定着支援に関する法律」

自己紹介

はじめまして。

最初の記事は自己紹介からということで、shimkenと申します。

日本のとある大学で大学院生(修士課程)やっています。

研究内容は、詳しく書いてもつまらないので、朝鮮半島に関係する事象としておきます。

 

趣味は読書なのですが、研究がてら読む本の量は多いので、アウトプットもかねてこのブログを始めてみました。日本語、韓国語、英語書籍の紹介ができたらいいなと思います。特に韓国語の書籍がメインですかね。最近、日本で韓国語の小説が人気を得ていますが、それと変わった?感じの本を紹介します。(自分の研究とその延長線上の本ばかりになるかと)

 

他には映画や単なる日々の愚痴、気になっていることを書いていこうと思います。

また、韓国留学も経験してきたので、それについても書けたらなぁと考えています。

 

毎日更新はできませんが、よろしくお願いします。